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若妻脅迫にうってつけの日 その2

女の性感は、精神的な満足感から得られることが多い。

精神的な満足や安堵感が得られなければ、
物理的刺激に反応を起こしづらいのである。

「嫌がりながらも感じる」という状態は、ほとんど有得ないことと言える。

だが、逆を言えば、精神的に強い不安や恐怖を抱いていなければ
物理的刺激に反応してしまうということでもある。

このとき、瞳の肉体がほんのわずかだけ反応してしまったのは、
背後の痴漢に気を許したからでも好意を抱いたからでもない。

その原因は諦念であった。

「この人の好きにさせれば、最悪の事態は免れる」という想いが
本人にも無意識のうちに、瞳の心中に根付いていたのである。

陰核を弄ぶ指先が、僅かな布の湿気を嗅ぎつけた。

「濡れてきた」
心底可笑しい、というような含み笑いとともに、男がそう呟く。

「奥さん、やっぱり、感じやすくなってる?」

瞳は首を三角に、ぶんぶんと振って否定した。

「じゃあ、元々こうなんだ。昔からおまんこ濡れ易いんだ」

瞳はやはり首を振って否定する。それから弱みを握られていることも忘れて
背後の痴漢を改めてぎろりと睨んだ。

「睨まないでよ、万引きママ……もっと感じやすいところ見せてよ」
甘えるように、男が言った。

尻を撫でていた手が、ふいに彼女のろっ骨に触れた。
わき腹をくすぐられた瞳は「ひぃぁ」と声を出してしまう。

それから、自分の口を自分の手で塞いだ。
危ない。
彼女はまた周囲に視線を送る。

既にがらがらの車内には、自分以外の世界に無関心な老人と
子供しか乗っておらず、いびつに密着する二人に気を払うものは居なかった。

彼女のあばら骨の本数を数えるように、男の指は
する、する、すると上にのぼっていく。

瞳は歯を食いしばって、声を出すのを堪えた。
胸を押さえる下着を、指がつん、と押してくる。

「おいしそう」
男はそう言った。

瞳の胸元に辿り着いた指が、下着の上から乳房に触れ始めた。

まだ重力に負けていない彼女の双丘は、
先端を頂点としたドーム型を描いている。
いわゆる、お椀型、である。

その半球は、指で押されるとむにゅうと形を歪ませるが
ある程度まで指が入ると強い弾力で押し返す。
若さと熟成の、その両方の魅力を兼ね備えていた。

下着の上から、彼女の胸は鷲づかみにされた。
それから、無造作にぼにょぼにょと弄ばれる。

同時に男は一旦、股間の指を引いて自分の口に入れた。
瞳の体液が僅かに付着した指先を嘗め回す。

そして唾液ででらでらと光るその指を、
もう一度瞳の陰部に滑り込ませた。

「おかしいよ」
痴漢が可聴範囲ぎりぎりの声で、瞳の耳たぶに触れながら囁いた。
身体が震えたが、振り向く余裕すら今の彼女には無い。

「旦那さんだけが触る権利があるなんて」
男はさらにもう一言付け加えると、濡らした指先で
下着越しに陰核を撫で始めた。

「一人が独占すると十人が飢える、ってことわざがあるじゃない……。
このカラダを旦那さんが独占したせいで、たくさんの男が苦しんでるんだ。
奥さんにはわかんないよね、この辛さが」
ぼそぼそと、男は続ける。

「棒の先端がむずむずして、精子が外に出たがってるのが分かる、この感じ。
強く握っただけで出てしまう、って自分でも分かる、この感じ……」
瞳の耳には、呪詛の言葉の如く響いていた。

陰核を指先で捏ねていた指先が、我を忘れたかように
唐突に跳ね上がり、下着の中に滑り込んだ。

生の指先が茂みを駆け抜け、僅かに湿った肉の裂け目に触れる。

「レースクイーンみたいなカラダしやがって……。
まんこビチョらせてんじゃないか……」
中指の第一関節が、膣内に捻りこまれる。

彼女の子宮口は意外と抵抗無くそれを受け入れた。
ぬるり、と指先が前後する。

瞳は、脚を閉じようとして、太股に力を入れた。
しかし男の手を弾き飛ばす力を、彼女は持っていない。

「力入れないで」
まるでダンスのコーチのような、淡々とした注意。

瞳は首を回した。
(このまま無抵抗でいたほうが賢い)
そう分かっていても、それが出来るほど、彼女は強靭では無かった。

「やめて」
本能的な拒絶の声が出た。

男の双腕を引き剥がそうと、彼女は全身に力を入れた。
これ以上は耐え切れない。

女性にとって、性欲の対象にのみ見られるという状態は
もっとも不愉快で屈辱的なことである。
なぜならそれは、人間扱いされない、ということに他ならないからだ。

男にとっても女にとっても、自分をまるで「物」のように見られることは
それまでの人生を否定されることに等しい。
比嘉瞳はその扱いに粛々と耐えられるほど、プライドの無い女では無かった。

瞳の思わぬ強い抵抗に、男は少しだけ鼻白んだ顔をしたが
すぐに元の不敵な表情に戻った。

ジョーカーを持っているポーカーのプレイヤーのような、
自信の優位と勝利を確信している顔であった。

「女としてのプライドの方が、旦那さんへの愛より大事なら
ここでやめてもいいよ」

男は、両手の動きを止めた。
そして、瞳の反応を――彼女の背中にへばりついたままだが――静かに待った。

電車が人のほとんどいない駅に止まり、
子供が数人、きゃたきゃたと笑いながら降りていく。
車内に残った老人は、東京タワーの蝋人形館にいてもいいくらい微動だにしない。

「ねえ、奥さん」

男の呼びかけを無視して、瞳は考える。
朝、書類を渡したときの寛治の顔を思い出した。

「身から出たサビを、旦那に押し付けるの?」
痴漢はさらにそう付け加える。

自業自得――。
全てが自らの行いから始まった。

そのことを再認識した瞬間、瞳の身体からがくんと力が抜けた。

男はこうなるのを待っていた、とばかり
嬉しそうに行為を再開し始めた。

「……夫への愛を貫くんだぁ……」

膣内の指が、ぬるりと動くのが分かる。
確かに、出産してから刺激に過敏になっているのかも知れない。

乳房を押す手が、下着を器用に外した。
男はそれをポケットにねじ込む。

「電車降りてさ、奥さん。次の駅のトイレか何かでさ。
奥さんの愛の強さを見せ付けてくれない?」

車両が地下に滑り込んでいくと、
窓の外にはコンクリート壁とライトだけが流れていく。

暗くなった窓ガラスに映る自分たちの姿を、瞳は見た。
そこには少しだけ怯えたような顔をした女が立っている。
まくり上げられたスカートから細長い脚が内股気味に折れていて、
脚の付け根に差し込まれた腕がもぞもぞと蠢いていた。
セーターの胸元が、男の指の形に歪んで盛り上がっている。

そして女の首筋に、吸血鬼のように唇を近づけている背広の男。
空腹のときに大好物を目の前に出されたような、欲求剥き出しの顔。
薄く開いた口の端が、唾液できらきらと光っている。
大好物をむさぼり喰らってやる、という猛々しい興奮が鼻から漏れていた。
欲望を抑えない人間は醜い。そのことを改めて瞳は実感した。

硬直した男の性器が、瞳の臀部にぐいぐいと押し付けられている。
彼女の体内に入りたくて仕方が無い、という動きだった。

男のぬめった中指が、くるっと陰核の周りを一回転する。
それから硬くなったそれを、くり、と撫でると
再び子宮口に中指を沈み込ませる。
彼女の膣は、最初より抵抗無く異物を受け入れた。

膣内を弄る音は意外に大きいが、さすがに電車の走行音には勝てない。
それでも瞳は、行為の音が周囲に聴かれるのではないかと不安を覚えていた。
男に嬲られることより、やはり事が大きくなることを彼女は怖れた。

「奥さん、なか、とろとろになってるよ……」
からかうように、男が言う。
潤滑油が溢れる肉の穴倉に、男の中指が根元まで差し込まれている。
梅干を見ただけで反射的に唾液が溢れるように、
彼女の肉体は精神と反したリアクションを見せた。

「クリトリス気持ちいい、って言ってよ」
男の耳たぶを舐めるような声を、瞳は無視する。
「ねえ、奥さん、ねぇ……」
瞳は無視をする。
「ね……え……」
声は後半から吐息に変わり、舌先がちろちろと耳たぶに触れていた。
「キモイ!!」と叫んで突き飛ばしたい衝動を瞳は堪える。

「次の駅で降りて……ちょっとお話しよう、か」
男はそういうと、彼女の体から少しだけ離れた。

電車のスピードが落ちていく。

男は瞳から二歩離れると、少し乱れたスーツの襟を直して
ネクタイを締めなおした。
瞳は彼の数倍衣服が乱れていたので、直すのに時間が掛かった。
セーターにじかに乳首が当たっていて、なんとも違和感がある。
ブラジャーはまだ男のポケットに入っているはずだ。

車窓に薄暗い駅のホームが滑り込んでくる。
乗車客はやはりまばらであった。
勿論、沢山の人が居たとしても瞳は助けを呼ぶつもりなど無い。
その力も、その資格もない。

電車が完全に止まると、男は瞳に「行こうか」と声をかけた。
それは二時間居座った居酒屋で「そろそろ出よっか」とでも
言ったみたいな、自然で穏やかな声であった。
これから何をするのか、まるで知らないみたいな声であった。

人気の少ない、薄暗くてあまり清潔でないホームに瞳は降り立つ。
男は彼女の動きを拘束しなかった。
その所作には、逃げられるのなら逃げてもいいよ、とでもいうような余裕が感じられた。

男の後ろについて、エスカレータに乗る。
瞳はスーツの後ろ姿を見ながら、何故酷い目に遭うと分かって
こんな変態についていかねばならないのか、とひどく惨めな気分になった。
駅のタイル壁の汚さがそれに拍車をかける。
全てが自分のせいだと分かっていても、それは割り切れるものではなかった。

男はコンコースを散歩するみたいな足取りであるくと、
脇に伸びる狭い通路に入り込んだ。
車椅子でも押せるように低く設置されたドアのスイッチが備えられている。
身障者用のトイレだと彼女はすぐに分かった。

「ここで話し合いしようか」
男は当たり前のようにそう言う。
その呑気な顔を見ながら、瞳は心底恐怖を感じた。
この表情の奥底に、どれほどの獣欲を潜ませているのか、と。

緑の「開」スイッチを押すと、ドアが音も無く開いた。
その中は、三畳はありそうなほど広い。
瞳がトイレの中に入ったのを確認すると、男が再びスイッチを押す。
閉鎖空間のドアは、閉まるときも音が無かった。

ドアが閉まった瞬間、男は予想外の言葉を発した。

「……さて、奥さん、別にもう帰ってもいいよ」
男は洋式便座にスーツのまま座り込み、腕組みしてそう言ったのだ。
瞳は驚いて「え?」と聞き返してしまった。
勿論、帰ってもいいというのなら、すぐにでも帰りたい。

「俺がね、奥さんのこと、どうやって知ったかって言うとね。
あの文房具屋の店員から聞いたんだよ。
覚えてる? あの店の男の店員」
そう言われて、瞳はすぐに思い出した。
あの表情を見ただけで愚鈍だと分かるような、呆けた顔をした若者を。

「アイツ、奥さんが電車乗ったとき、向かいのホームに居たんだ」
「向かいのホーム……」
黒いダウンジャケットを着た、あの禍々しい存在感――。

「写メ撮ったのもアイツだよ。奥さんが何度も何度も店に来ては
商品をかっぱらって、それをゴミ箱に捨ててるところを
アイツは毎回毎回見てたんだ。それを逐一撮ってたんだ」

「さて奥さん。俺はあの店員の意思どおり、奥さんに対して
法的な処置をとるつもりでいる」
男はきっぱりとそう言って、眉間にしわを寄せた。
驚愕の声が瞳の口から漏れる。
それを避けるために今まで耐えたというのに。

「そッ!!」
「悪いけど、どんなに小さくても犯罪は犯罪だよ。奥さん」
「そっ、それを言うなら」
「それを言うなら俺が電車の中でしたことも? そうだね。
駅員にでも訴えればいいよ。好きにすればいい」
「……」
瞳が男の痴漢を訴えたとしても、結局万引きの件がバレるのは間違いなかった。
そして、この男が黒幕で無い以上、状況が改善するとも思えなかった。

「俺からは、もう何も言うことは無いよ。奥さん。帰っても構わない」
男は念押しするようにそう繰り返すと、便座から立ち上がった。
そのまま瞳の横を通り過ぎて、外に出ようとしている。

「待って!!」
トイレの外に聴こえるくらいの声で、瞳は呼び止めた。

瞳の呼びかけに、男は振り返らずに「何ですか?」と答えた。

「ちょっと、ちょっと待って。待って下さい」
瞳は男の背中に悲鳴のような声を投げかける。
ここで男が去っていけば、全てが水泡に帰すのだ。

「俺から言うことは、もう何も無いよ、奥さん。後は、奥さん次第。
取引を持ち掛けたいのなら、奥さんから言わないとね」
男はそう言った。やはり、ドアを向いたまま。
取引を持ち掛けたいのなら――。

「お金、お金は」
「金の話じゃないよ、奥さん。分かってるよね」
振り返って、男は瞳を見た。
彼はさっきまで揉み解していたたわわな乳房と、
指先で弄んだ陰部を、嘗め回すように眺めた。

「何か、お願いすることが、あるの?」
男はそう訊いた。

「あの、万引きの話、ですけど、あの、私、
……反省、していて」
「反省されても。俺の店じゃないからね」
「あの、だから、あの、あの話を」
「……」
「あの話を、黙って、言わないで貰えませんか……」
「それは無理な話だね。じゃあ、失礼します」
「待って、あの、黙っててくれたら、あの」
「急ぐから、行くよもう」
「あっ!! 待って!! なんでも……なんでも、するから」
「なんでも、って言われても、奥さんは何ができるの?」

男は酷薄な目線を彼女に向けた。

「そんな漠然とした条件出されても困るよ。奥さん。
奥さん、俺はあなたに何か強要するつもりは無いんだよ。
ただ奥さんの方から望むならば、やぶさかではない、というだけなんだ」

そこまで言うと、思わせぶりににやり、と笑った。

頭に血が上るのを瞳は感じた。
諦めに近いものは心中にあるのだが、目の前のこの男の
ねちねちとした言い回しと余裕ある態度に
こみ上げる怒りが抑えきれなかった。
何もかも投げ捨てて、思い切りひっぱたけばさぞ爽快だろう。

夫への愛を利用して、自分を辱しめようとしている悪漢に
なぜ懇願する必要があるだろう。
四半世紀生きて積み上げてきた自分の人間性を無視されて、
こんな男の肉欲に身を晒す理由がどこにあるだろう。

何が「やぶさかではない」だ。
いい加減にするがいい。

瞳は「もういい!!」と怒鳴ると、男を突き飛ばすように押しのけ
障害者用トイレの開錠ボタンを押した。
やはり音も無く開いた扉を抜けて、外に出る。
床を蹴りつけるような足取りで、彼女は駅のコンコースを歩いた。

階段を登るとき、振り返ったが、男は追っては来なかった。
家に帰ろう、と瞳は強く思った。

瞳が駅のホームで深い深い溜め息をついたところを、
狙い済ましたかのように着信メロディが流れた。
和製R&B歌手の甘い歌声が、慰めるように瞳の耳に届いた。
それが誰からかの着信なのか、彼女はすぐに理解する。

「はい、もしもし」
泣きながらすがりつきたい心情を抱えながらも、
瞳は自分でも驚くほど冷静に発声した。

「……あ、瞳? ゴメンないきなり。今、どこにいる?」
いつもと同じ、優しい声。耳が溶けそうなほどに温かい。
「あ、もう着いたよ。今電車から降りたところ」
当たり前のように嘘をつく。
何も知らない夫に、少しでも不審なところを見せたくなかった。

痴漢も、万引きも、脅迫も、
そういう汚らわしいものから、夫を守りたかった。
見て欲しくなかった。

「どうしたの? 急に電話かけてきて。仕事中でしょ?」

「大丈夫か?」
寛治の声のトーンが低くなった。

確かに瞳は精神的にも肉体的にも疲弊していて、
心配して欲しい状態ではあったのだが、
テレパシーでもない限り、それを夫が感づくはずはない。
嫌な予感がどぶ鼠のように脳内を這い回る。

「大丈夫、って、何が?」
動揺を飲み込んで、彼女は声を出す。
いつもと同じ音程で、いつもと同じ口調で。
何も知らない夫を欺くことに、胸が少し痛んだ。

「変な電話かかってきたんだよ。ヘリウムガスみたいな声の……。
ドラマの脅迫電話みたいなやつ」
「変な電話……?」
「うん。『お前の妻は今、八幡駅で降りて、さばきを待っている』って
繰り返し繰り返し何回も言うんだよ。
イタズラだと思って切ったんだけどさ、その瞬間、最後にそいつが
『瞳は』って言ったんだ」
「私の名前を」
「ああ。それでスゲー心配になってさ。八幡駅だって帰り道だし。
な、もう初芝駅に着いてるんだよな。八幡で降りてないよな」

「うん。大丈夫、心配ないよ」
瞳は、八幡駅の表示プレートを見ながらそう答える。

電話を耳に押し付けながら、瞳は階段を駆け下りた。
ホームで放送が流れると、ここが八幡であることがバレる危険があるからだ。
電波が悪くなり、夫の声が途切れ途切れになる。

「ゴメン、電波ちょっと悪いね。そろそろ切るよ」
瞳はそう言うと、最後に「それより仕事頑張ってね」と付け加えて
それから晩御飯はカレーだと告げて、電話を切った。

夫の声が、耳の内側で残響していた。
「変な電話がかかってきたんだよ」「スゲー心配になってさ」「八幡駅で降りてないよな」
寛治の優しい声が、不審や不安に揺れていた。
瞳をほんのわずか、疑っていた。初めて聴く、疑念の声。

寛治が、脅迫電話と関ってしまった、という事実は瞳にとって
『天国の中に、地獄が流れ込んだ』といってもいいほどの感覚であった。
どんな人間にもある、聖域を侵される不快感であった。

瞳は階段を駆け下りると、怒りとも悲しみともつかない感情を抱えたまま
さっきの障害者用トイレに再び入った。

男はスラックスを下ろさずに、便座に座っていた。
脂性の顔を傾けて携帯をいじっている彼は、アメリカの教科書に
「日本のサラリーマンの類型」として載っていてもおかしくないほど凡庸だった。
扉を開いて入ってきた瞳に、気付いていないかのように彼は携帯を操作している。
かつ、と靴のかかとで床を踏むと、男はようやく顔を上げた。

「ああ、戻ってきた戻ってきた。
戻ってこなかったらどうしようかと思ってたよ」
のんびりとした口調でそう告げると、彼は小さく微笑んだ。

「鍵、閉めて」
「……」
瞳は何も言わずに、振り返って「閉」ボタンを押した。
音無く閉まる扉。今度は本当に逃げ出すことの出来ない密室。

「戻ってきたのは、何のため? お願いする気になったの?
それとも警察の人を連れてきたの?」
飽くまでも、男はソフトな口調を崩さない。
後者の選択肢を、瞳が選ばないことを彼は良く知っているのだろう。

臍を噛むような気持ちで、瞳は口を開いた。

「お願いします」
これほど敬語を口に出すことを苦く感じたのは初めてだった。
自尊心や誇りを全て無いものと思い込まねば、決して言えない台詞だった。

「私の、万引きを、黙っていて下さい、お願い」
「ふむ」
「もし、その、そのために、必要なら」
「……」
「私を……、私を好、きに」
「え?」
「好きに……して下さい」

彼女が最後まで言い切ると、男はあごに手をあてて
『こりゃあ驚いた』というような表情を作った。

「奥さん、好きにして、でも、やっぱりまだ漠然としてるよ……。
だからさ、もっと具体的に『私に何々して下さい』とか
『私を何々して下さい』とか言ってよ。
そうすれば話がハッキリするからさぁ」
男はまだ、彼女の言葉に納得をしていないようだ。

これ以上何を言わせたいのか、と瞳は怒りより疲労感に襲われる。

「『私をナニして下さい』っておねだりしたら……
ようやく取引が成立するよ、奥さん」
男が笑う。

ほんの少しだけ、押さえ込んでいる欲望が漏れ始めてきたのが分かる。
頬の筋肉の動き、唾液があふれ出している口内、三日月形に歪む瞳。
のったりとした口調の奥に、耐え難いほどの飢え渇きが滲む。
スラックスの中に押し込んだ肉欲の塊が、体液を吐き出そうと悶えているのだ。

「私を」
瞳は、意を決した。
『ナニ』の部分はもしかしたら男の言わせたい言葉と違うのかも知れないが、
そればかりは彼女にもどうしようもない。
とにかく、思いついた言葉を、瞳は口にする。

「私を」

 

 

「おかして……ください……」

「あぁー、あぁー、あぁー……」
男が驚いたように声を上げる。
本当に言っちゃったよ、というような、白々しい声。
彼は立ち上がって、瞳の方に一歩近づいた。

「参ったなあ……これは困った……。
俺はそんなつもりじゃなかったのに……
奥さんのほうから求められるなんて」
粘り気のある息とともに、言葉を男は紡いでいく。

それから、彼は瞳の頬に唇を寄せた。
反射的に顔を五センチほど逃がしてしまう。
男は逃げる彼女の顔を追うように、閉じた唇の間から舌を出した。
唾液で湿った舌が、瞳に頬を蛇のように舐める。

「犯されたいんだぁ、奥さん……。じゃあしょうがないよ、しょうがない……。
ちょうどいい、奥さん。偶然にも、俺、今ガチガチに硬くなってるから……。
犯され甲斐があると、思うよ」
そこまで言うと、瞳の唇を舐めた。

「口開けて、奥さん」
男はそう言うと、指で瞳の口をこじ開けた。
そしてさらけ出された咥内に、舌を滑り込ませる。
瞳は「ふぎ」と妙な声を出しながら顔をよじった。

犯される覚悟を決めていても、口の中に舌を入れられることが極端に嫌だった。
理由を訊かれても、きっと瞳自身答えは出せないだろう。
ただ、口は性器より脳に近いぶん、より心と密接なのは確かである。
女性にとってキスは愛情の証であり、セックスの前ふりなどではない。

だからこそ、舌を絡めあわせ唇を重ねる接吻は、
神聖な儀式であり、誰彼構わず出来るものではないのである。
勿論、この状況の男にとって、そんな瞳の内面は推し量りようもないし
初めから推し量る気も無いだろう。

「好きにして下さい、って言ったじゃない、奥さん……。
ダメだよ抵抗したら……覚悟決めたんじゃないの?」
男がからかうような口をきく。

だが、いくら覚悟を決めようと、ゴキブリを目の前に出されて
「食べろ」と言われれば逃げ出してしまうだろう。

「今さら……ガードしないでよ……奥さん……。
さんざ焦らしたんだからさ……」
男の声が、熱を帯びてきていた。

そう思った瞬間、瞳の唇にべちゅ、と吸い付く口。
ぬるぬるした唾液が鼻の下にまで付着した。
「口開いて、くーち」
あごや頬までびちゅびちゅと嘗め回しながら、男が甘えるように言った。

瞳は硬く閉ざしていた口から、わずかに力を抜く。
ほんのわずか開いた唇の隙間に、粘液まみれの触手のごとく、舌が滑り込んできた。
ずるり、と瞳の口の中に入り込むと、その中をねろねろと暴れまわる。
結婚してから五年間、寛治以外の人間に舌を入れられたのは初めてだった。

「も、もごっ、もぅ、ぐ、う」
くぐもった悲鳴がトイレの中に反響する。
びちゅ、みちゅ、という聞き苦しいエコー。
五分以上も舌をこすれあわせたあと、ようやく男は瞳の口を開放した。

男は瞳の身体を回して、壁の方を向かせた。
その背後に密着して、彼女の乳房を下から持ち上げる。
「たまらないなぁ……」
感に堪えない、といった声を男は出す。

「普通に生活してるとね、楽しむにしても、限定されてるんだよ。
なんつーか、遊園地に行っても、乗れる遊具が限られてるみたいな……。
全てを思う存分に、とはいかないんだよ」
たぷ、たぷ、と乳房を弄びながら、告白するように呟く。

「一生に一度あるかないか、だからね。フリーパス、っていうのは……。
大事に、時間をかけて使わないと……。フリーパス……。
巨乳人妻を四つん這いにして、後ろからゴムなし挿入、射精回数無制限の夢のチケット」
「な、にを言って」
瞳の口から非難めいた言葉が出そうになる。
ゴムなし、という単語に彼女は過敏に反応した。

「犯す、っていうのは、そういう意味だよ、奥さん」
言葉が途切れ途切れになっている。口をきく余裕が無くなって来ているようだ。

「ここはトイレだからね……トイレは便座に、排泄するところだからね……。
ねえ、おくさぁん……おまん、こ、いじるよ……」

男が急に腰を引っ張ったので、瞳は「きゃっ」と悲鳴をあげて壁に両手をついた。
そのまま壁から三歩遠ざかった瞳の身体はΓの形になる。
腰を男に向かって突き出している状態であった。
男は人差し指を中指を口に入れて、唾液で湿らせた。

左手で瞳の腰をがっちりと固定し、右手でスカートをめくり上げる。
そのままいきなり下着の中に指を入れてきた。
すっかり乾いた陰核に、ぬるりとした熱の感触が伝わる。
それは痛みを感じない程度の摩擦とともに、ゆっくりと刺激を開始した。

瞳が十代の女性だったならば、圧倒的な嫌悪に身体が竦むところであるはずである。
しかし、彼女は二十代半ばの、しかも既婚者であった。
数知れぬ夜を夫とともにすごし、愛撫を受けなれた肉体を持つ女。
その身体は性的刺激に反射的であった。

梅干を見ただけで唾液が出るのと同じように、優しく触れる指先は
彼女の膣にわずかな潤いをもたらした。

「やっぱり奥さん、敏感だ……」
男はベルトを外して、スラックスをストン、と床に落とした。

トランクスを、剛直が持ち上げていた。
瞳を犯そうという意思そのものの固さである。
首を回して、瞳は男のそれを確認する。
彼女は突き出したままの腰に力を入れた。

男はそのまま少し屈んだ。
瞳の下着を指でずらして、彼女の性器をまじまじと見つめる。
「見ないで!!」
強い羞恥心が、発作的に瞳を叫ばせた。

男の太い人差し指と中指が、ピースサインを作るように裂け目を押し広げた。
そして間髪居れずにそこに顔を寄せる。
少しだけ匂いを気にする仕草をしてから、男は瞳の陰核を口に含んだ。

「やめて!! お願い!!」
烈しい抵抗の声が出た。

男は唾液まみれの舌で彼女の陰核を、周囲をなぞるように舐めると、
口を閉じてから、強く唇を押し当てた。
それから顔を左右にぶるぶると振る。

「あ」
陰核をこする唇の感触に、瞳は思わず、不快感ではない喘ぎを漏らした。

それから、十分近く、瞳の陰核と膣は責められ続けた。
静かな障害者用トイレに、粘膜の絡み合う音と、荒い息と、
瞳の苦悶の声が反響する。

くちゃ、くぽ、くぱっ 「やっ」 ちゅくちゅく、っぱ
くぱ 「あ、やだ」 ちょく、ぷ 「……嫌、もう、嫌」

「奥さん、もう、嫌がってるふりしなくていいよ……。
こっちの口は、上のと違って、嘘がつけないから……」
そういいながら、男は膣をかき回す。

「気持ちいいです、早く挿れて欲しい、って
ヨダレたらしてるもん、こっちのお口が」
「……そんなこと」
「ほら」
男は膣から二本の指を引き抜くと、瞳の前に出した。

ピースを作ると、その間にエイリアンの唾液のような
粘り気のある糸が引かれた。

「淫乱、って言われても、反論出来ないよ、奥さん」

「じゃあ、そろそろお楽しみの時間だね……」
そう言うや否や、男はトランクスを脱いで放り投げた。
別の生き物のように跳ねる男性器を、瞳は呆然と見つめる。
上着も脱ぐと、男は衣服を床に丁寧に敷き詰めた。

「奥さん、床に座って」
全裸で、便座に男は座る。用を足すようにも見えた。
瞳は床に敷かれた衣服の上に、正座する。
男は少しうつむいて、瞳を見つめた。

「万引きしたこと、反省した?」
「……はい」
「じゃあ、頭を下げて」

瞳は正座したまま、頭を下げた。
つまり、土下座である。

「そのまま、そのまま」
男は立ち上がり、土下座している瞳の背後に回りこんだ。

「じゃあ、腰を上げて……お尻をこっちに向けて」

土下座している瞳の視界には、便座と床しか映らない。
しかし、持ち上げられた腰に、男の身体が密着しているのは分かる。
膣の入り口に、太い肉の感触がした。

「力抜いて」
男の言葉と同時に、異物感が下腹部からこみ上げてきた。

――入ってきた……!!

瞳がそう思った瞬間には、先端部分がすっぽりと膣内に収まっていた。
それから、ぐ、ぐっ、と性器が押し込まれていく。
痛みを感じなかったのは、単純に膣内の摩擦度が極端に低下していたからである。

やがて、彼女の女性としての器は、男の肉欲をすっぽりと包み込んだ。
一本丸々、根元まで飲み込んだのである。
背中に、冷たい液体が垂れた。男の唾液だろうと瞳は思う。

「始めはゆっくり、動くからね」
男は台詞の最後に音符がつきそうな口調でそう言った。

「ひぃ!!」
瞳は大きく悲鳴をあげてしまった。

ゆっくり動く、と言った次の瞬間、男は
一秒に二回前後するペースで腰を動かし始めたのだ。
ビジュアル系バンドのドラムのような速さである。

「ひぃひぃ、いいぃ~あ」
快楽でも苦痛でもない、単なる驚きの声を瞳はあげる。

男は尻を掴んでいた手を下にまわして、陰核を捏ねたり
時に尻を撫で回したりしながら、高速で腰を動かした。

「便座に遠慮するトイレなんて無いからねぇ~……。
ほら、奥さん、ホラ、ほら、ホラ、ほら、ほら!!
旦那さんのと違うの入ってるよ!! いいの!?
これがお望みなんだろ!? ほら、ほらほらほらほら!!」
快楽の余り、急に良く喋るようになった男の姿は滑稽であった。

「あーーー、アレが溶けそう……あぁ」
「いっ、いっ、あ、あ、あぁダメ、ダメあんまりそんな速く動かさないで」
「後ろから、って良いよね~奥さん。犯されてる~って感じがするでしょ?
セックス、じゃなくて、交尾、って感じがするでしょ?」

「一生懸命に働いている時間帯に、奥さんは善がってるんだから
旦那もたまったもんじゃないよなあ、ねえ?」
「ん、く、ん」
「悶えてないで、おまんこ気持ちいいです、とか言ってよ、奥さぁ、ん」
「くっ、くっ、ん」

瞳は閉じていた目を開く。
頬が熱いのは、身体を動かしているせいだと思っていたが
そうではなかった。視界が歪んでいた。
涙が、汗と一緒にぽたぽたと垂れている。

「おくさ、ん、泣いてる? ひょっとして泣いてる?」
喜色満面で、男が尋ねてくる。

「泣いてないっ!!」
怒鳴るように答えるが、その声はすでに涙声だった。

「泣くほど、気持ちイイのか? それとも悔しいの?」
「うる、っさい!!」
「怒った~。奥さん怒った~」
陰湿に、男は笑った。

やがて、腰を動かす男の声が、喘ぎ声だけになってきた。
無駄口が減り始める。
一方、瞳は瞳で冷静に状況判断できる余裕はすでに無かった。
急激な運動とストレス、快楽と苦痛、混乱と困惑がない交ぜになり
心身ともに憔悴しきった状態だった。

四つん這いのまま後ろから衝かれ続けている瞳は、
膝が痛いな、などと思っている。
縦にぷるぷると揺れる乳房を、時々男がつまんで揉み解した。

「お、くさん……そろそろ出すよ」
「くっ、な」
「奥さん」
「中に、出したら……許さないから」
「奥さん、あ、あ、いい、あ、あはっ、ああ、ああ」
「やめて!! やめて!! ダメ!!」
「あ、あっ、うお!!」
「やっ!!」

この日一番大きな悲鳴が、身障者トイレに響く。
男は計十三回、身体を震わせた。

荒い息だけが、三畳の室内に響く。
十秒近い沈黙があった。
男は、挿したままの性器を膣から引き抜くと
「ふぃーー!!」と息をはいて額の汗を拭った。

瞳は肘を折ると、がくりと床に倒れこんだ。
膣から、白濁が垂れている。

「奥さん、ありがとう、全部出たよ……。これで取引成立ね」
男はそう言うと、瞳の身体の下の衣服をいそいそと引き抜いた。
瞳よりも、自分の衣服の方が重要、という動きである。
用を足した後の便座になど、何も興味を惹かれるものはないのだろう。

瞳は顔を起こすと、「絶対、もう、あの人に関らないで」とだけ言った。
濡れた頬が冷たかった。

「安心しなよ。身体を張った奥さんの勝ちだ。あの店員も、奥さんが反省すれば
データごと写真を消すって言ってたからさ。
いやあ、素晴らしい夫への愛を見れたよ、奥さん……妻の鏡だ」
取ってつけたような賛辞を残して、男はいそいそとトイレを出て行った。

瞳は自分の乱れた衣服をかき集め、急いでそれを着た。
それから便座に腰掛け、トイレットペーパーで膣を拭う。
脂ぎった男の体液はまだ残っていた。

さっきまで自分が四つん這いになっていたトイレの床を見て
しみじみと悲しい気分がこみ上げてきたが、不思議と涙はこれ以上出なかった。

寛治の声を聞きたい、と思って携帯電話を取り出したが、
彼女はどうしても通話ボタンを押すことが出来なかった。

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